土地の魔法 [アメリカ南部でのこと]
ニューヨークに来る前には、アメリカ南部の小さな田舎町にいましたが、正確にはテネシー州ナッシュビルの郊外に住んでいました。
ナッシュビルは、「ナッシュビルといえば、カントリーミュージック(Country Music) 」と、アメリカ人の誰もが思う程カントリーミュージックで有名な街。
たくさんのレコーディングスタジオや、カントリーミュージック博物館(Country Music Hall of Fame and Museum) 、それにカントリー歌手なら一度はここで歌ってみたいと思うコンサートホール、グランド オレ オプリー(Grand Ole Opry) など、カントリーミュージックに関する物が数限りなくあります。
又、街の目抜き通り、ブロードウェイ(Broadway) 沿いにはたくさんのライブハウスがあり、ビール 片手に気軽にカントリーミュージックを楽しむ事が出来るので、週末はいつも大勢の人で賑わっています。
カントリーミュージックと聞くと、日本の演歌のようなものを想像するかもしれませんが、実際は全く違います。
元々は、アメリカ南部のアパラチア山脈の辺りに住んでいた、ヨーロッパからの移民やネイティブアメリカンのそれぞれの国のメロディと楽器が混ざり合ってできた音楽ですが、今日ではロック調、レゲエ調などいろいろな曲調があり、演歌というよりは、ポップスに近い感覚。
ナッシュビルには、カントリーミュージックのFM局もたくさんあり、私も住んでいた頃には、車で出かける度にFMでカントリーを聞いていました。
リスナーの年齢層が幅広く、リクエストを受け付ける番組では、特に若い人からのリクエストの電話が多くて、みんな日常的にカントリーミュージックを聴いているようでした。
カントリーミュージックのすべての曲に共通するのは独特の節回しで、全体的に曲調はのんびりとしていて底抜けに明るく、歌詞は日常生活を歌った、平和な内容。
そんな曲を聴きながらお天気のいい日に牧場が続く田舎道をドライブすると、いつもほのぼのとした 幸せな気分になりました。
不思議な事に、今同じ音楽を聴いてもあの時のような気持にはなれません。
カントリーミュージックはアメリカ南部で生まれた音楽。
南部の風土の中で聞いてこそ、魅力があるのでしょう。